ねこちゃんの占星術

ねこちゃんの視点で占星術の面白さを語るブログ

ねこでもわかるトランジット(その2)

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こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
トランジットについての続きです。

ねこでもわかるトランジット(その1)


トランジットの天体の速度や距離の違いを知っていただくための動画や、10個のトランジットのうち、速い天体と遅い天体に分けて、どのように使い分けるのかなどを書きました。天体毎の意味は次回書くつもりでしたが、フライングで土星だけ書きました。

 

 

惑星の公転運動を動画で説明してみた

トランジットで扱う天体は全部で10個あります。

ホロスコープの表示では、10個の天体は均一に12サインの輪の上に並んでいるように見えますが、実際の太陽系を考えると、地球からの距離がまるで違います。速度も違います。

この、天体の「近い/遠い」や、速度の「速い/遅い」の違いを掴んでおくと、トランジットを解釈をする上で役立つと思います。もちろん、ネイタルを解釈する上でも。

10個の天体は一律横並びではなく、明らかな違いがあります。

太陽系の様子をヴィジュアル的にわかるようにしたかったので、短い動画を作りました。ご覧ください。

 



理科の授業でも習ったので、当然と言えば当然なのですが、こうして3Dのアニメーションで見ると、ちょっとした感動すらあります。天体の特徴を、動きやサイズから推理することは意外と大事だと思っています。

 

トランジットの天体を分類する

公転周期

公転周期とは、太陽(地球)の周りを天体が1周するために必要な時間です。

だいたいの数字で示すと以下のようになります。この公転周期の数字は、覚えておくと何かと便利です。

【公転周期が短い・速度が速い・地球に近い】
   ↑
 月  :27.3日
 水星 :88日
 金星 :225日
 太陽 :1年
 火星 :2年

 木星 :12年
 土星 :29年
 天王星:84年
 海王星:165年
 冥王星:248年
   

【公転周期が長い・速度が遅い・地球から遠い】


僕はトランジットの天体を2種類に分類して考えています。

  • 速い天体 → 月・水星・金星・太陽・火星
  • 遅い天体 → 木星・土星・天王星・海王星・冥王星

ネイタルを解釈する時の、「個人天体」と「世代天体」の分類と同じです。まずはざっくりと、このくくりで説明します。

トランジットの速い天体(月・水星・金星・太陽・火星)

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トランジットの速い天体は、地球(=地上)に近い軌道を周っています。とても身近で具体的な、日常のできごとを表す天体です。誰と会ったとか、出かけたとか、何か買い物したとか、最近妙に仕事が忙しいとかです。

これらはすぐに次のサインやハウスに移動するので、影響は比較的短いスパンで終了し、移り変わっていきます。継続期間は、だいたい数日〜長くても1ヶ月程度です。(観察できる現象に注目するならば、期間はもっと短くなります。)


水星と金星は内惑星(地球の内側を公転する惑星)であり、ホロスコープでは太陽からあまり離れない場所を行き来します。なので、水星、金星、太陽は塊になることがしばしばあります。


現在のトランジット(2019年9月)では、乙女座に速い天体が集合しています。どの人も、とても身近で「乙女座」テーマの出来事を実感しやすいはずです。実務とか健康など。ただし、乙女座の天体の塊が、ネイタルのどこのハウスに入っているかによって、具体的な現象や受け止め方は変わってきます。


以下は「2019年8月23日〜9月23日」のトランジットのgifアニメです。太陽が乙女座を通過していく約1ヶ月間です。

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1ヶ月の間に、はホロスコープを1周と少し移動します。
水星
は太陽よりも速いので、途中で太陽を追い越して天秤座に入ります。
木星以降の遠い天体は全然動いていないように見えますが、度数の数字を見ると、わずかに動いていることがわかります。


速いトランジットは、人生全体で見れば「些細なこと」かもしれません。あっと言う間に12のハウスを巡回し、また再び同じ場所に戻ってきます。頻繁に繰り返しがあります。

なので、トランジットの速い天体だけから、人生の転機などを読むことはできません。軽すぎます。


例えば、新月は年にだいたい13回あります。新月と満月の解説を盛るのが好きな方もいらっしゃいますが、冷静に公転周期を考えると、毎月のように人生の大変容!や覚醒!が起こるとは考えにくいです。昨年のだいたい同じ時期にも、だいたい同じ場所で新月があったわけなので。

ただし、個人のネイタルの天体やアングルとぴったり重なる位置での新月・満月などは、その人にとっては特別な意味を持ちます。


トランジットの遅い天体(木星・土星・天王星・海王星・冥王星)

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トランジットの遅い天体は、長期的なテーマや運勢の下地のようなものを表します。じっと見ていても変化はわからない、「時計の短い針」のようです。影響が継続する期間は、1年〜数年単位になります。

1〜2年先までの大きな流れや長期計画、引っ越しや転職、結婚などの人生の転機を読むには、遅いトランジットが適しています。頻繁に繰り返さないからです。

トランジットの土星

それでは、遅いトランジットの天体の中で、何から読むかということですが、僕はまず、トランジットの土星に注目します。最初は、どこのハウスにあるのかを見てみましょう。

土星の公転周期は29年です。12で割ると2.4年なので、約2.4年は1つのハウスに滞在します。これは社会生活の営みを考える上では、手頃なサイクルだと思います。「石の上にも3年」ということわざは、ここから来ているような気もします。

その期間中は、土星が滞在するハウスに関する要望や課題が生じてくるように感じます。不備が発覚したり、ツッコミが入ったりするので、面倒でも対応せざるを得ません。しかし、その都度補強していくことで、結果的にそのハウスが頑丈になっていきます。そのために2〜3年くらいかかるということです。

トランジットの土星は、あるハウスを去った後も、成果は残ります。それ相応の時間をかけたからです。社会的な信用を得られるので、とても大事な天体だと僕は思います。


トランジットの土星の個人的な例

僕の場合はトランジットの土星が10ハウスにあります。今年の1月からです。

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nut's wheel で作成)

多人数の講座をしたり、雑誌に載ったり、イラストを書いたり、人目に触れる機会が増えた気がします。大きな責任を引き受けることが課題です。

Twitterで接する人が増えました。それと同時に、一方的に誤解されたり、すれ違ったり、知らない人から指摘されたりして、エネルギーを削がれることも度々あります。それもトランジットの土星にまつわる出来事です。そこで怯んではいけないということですね。

(個別の天体の解釈は後からするつもりでしたが、なんとなく書いてしまった。)

遅い天体がアングルを通過する時は大事

アングル(ASC、IC、DSC、MC)は、ハウスの中の重要なポイントです。アングルを遅いトランジットが通過する時は、大事な節目や転機になります。注目しましょう。

僕が初めて占星術の講座をしたのは、2011年10月にトランジットの土星がDSCを通過した時でした。占星術家としてのデビューのタイミングです。

その後、トランジットの土星が7→8→9ハウスを進むにつれて、「個人セッション開始」→「マンツーマン講座の開催と自分の勉強」→「グループ講座の開催」というふうに進んできました。トランジットの土星のお陰様に思えます。

ネイタルとトランジットのアスペクト

トランジットの遅い天体の影響は、ずっと続いているわけではない

トランジットの遅い天体は各ハウスに何年も滞在します。しかし、その影響は毎日毎日ずっと均一に続いているわけではありません。強まったり弱まったりしながら、「トータルすると◯年続く」という意味です。


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これは今年の3月のトランジットです。牡牛座に天王星が入った日です。

天王星の公転周期は84年なので、サインの境目をまたぐタイミングは約7年に1度しかやって来ません。これはとてもレアです。ここから約7年は、天王星が表す新しい流れ、時代が始まったとも言えます。

牡牛座の分野への改革です。牡牛座=お金や能力、天王星=改革と考えると、「働き方改革」や「年金制度破綻」などは、牡牛座の天王星のほんの一例です。

牡牛座に太陽がある人が、全員一斉に天王星の影響を受けるわけではない理由

最近、太陽や土星が牡牛座(あるいは反対側の蠍座)にあるお客様で、「転職を考えています」という方が多いです。これはトランジットの天王星の、個人に対する影響です。

しかし、天王星が牡牛座に入ったからと行って、牡牛座全域に、天王星の影響が及んでいるわけではありません。ネイタルで、牡牛座の天体(あるいは反対側の蠍座)がどこにあるのかが大事です。


上記の例では、どの人もネイタルの太陽が牡牛座(あるいは蠍座)の入口付近にあり、「ネイタルの天体に対するトランジットの天王星のコンジャンクション(またはオポジション)」のアスペクトが出来ていました。

トランジットでコンジャンクションの次に強くはたらくアスペクトはオポジションです。

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牡牛座(あるいは蠍座)に太陽などがある人が、全員、同時多発的にトランジットの天王星の影響を受けるわけではありません。

もし、牡牛座のいちばん最期の場所にネイタルの太陽がある人なら、トランジットの天王星の影響を受けるのは、あと約7年くらい先になります。

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次回はもう少しアスペクトについて説明するか、トランジットの個別の天体について説明します。


この記事を書くために、まるまる二日かかってしまいました。

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これは、僕の「ネイタルの土星に対するトランジットの水星と金星のコンジャンクション」です。

ネイタルの土星(6ハウス、乙女座)は「仕事上の義務や責任がずっしり来る、日々の業務だけは手を抜けない」という配置ですが、そこをトランジットの水星(文章表現)と金星(美意識、装飾)が、ここ数日の身近で出来事としてクローズアップしたという事がいえます。6ハウスなので実務作業です。

「なぜ、YouTubeとかgifアニメやってるんだろうか」という理由がここに出ていました。全く計画的ではありません。たまたまです。なので占星術は驚きます。

今回のまとめ

  • 身近で具体的な日常の事柄を読むには、トランジットの速い天体を見ます。
  • 人生の転機や人生計画を読むには、トランジットの遅い天体を見ます。
  • まずはトランジットがネイタルのどこのハウスにあるかをチェックしましょう。
  • 遅いトランジットがアングルを通過する時は節目、転機です。
  • より正確にトランジットを読むには、ネイタルとトランジットのアスペクトができる時期に注目します。

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