ねこちゃんの占星術

ねこちゃんの視点で占星術の面白さを語るブログ

「正確なアスペクト」「ゆるいアスペクト」の違いとは何か

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こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
オーブと、正確なアスペクト、緩いアスペクトの違いについて、トランジットから考えたことを書きました。漫画家の諫山創さんの出生図の解説も、ほんの少しだけあります。

 

 

オーブとは何か

オーブとは「アスペクトがでてきているとみなす許容度」のことです。

例えば、月が山羊座の10°00′にあるとして、その度数の近くに天王星があれば、「月と天王星のコンジャンクションのアスペクトができている」ことになります。

それでは、その「近く」の範囲は具体的にどこまでなのか。天王星は何度まで離れていても、月に影響が及ぶと考えられるのか。その基準がオーブです。


「オーブ:6度」と考えた時のコンジャンクションの範囲を図で表すとこうなります。

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赤いライン(山羊座の4°00′〜16°00′)の範囲内に何かの天体があれば、その天体は月とコンジャンクションとみなされるわけです。


オーブの「正解」はわからない

昨日、「オーブは何度で見ていますか?」とご質問がありました。オーブは本や教える先生によって異なります。また、個人個人の感じ方の違いもあります。そのため、それぞれオーブ何度が「正解」「適切」なのか、はっきり決めることはできません。

僕は今のところ、『完全マスター西洋占星術』に書かれている基準で、占星術ソフトのオーブを設定しています。この本では、太陽と月を含むコンジャンクションは「8度まで」となっています。


個人的な実感としては、誤差8度のコンジャンクションは、かなり緩い(弱め、優先順位は低め)だと思います。それより誤差の少ない別のアスペクトがあるなら、そちらの方を優先して解釈します。(天体の種類にもよりますが。)

同じコンジャンクションでも、天体の離れ具合によって、結びつきの強さ、インパクトは変わります。8度なら、8度の圏内は一律均質ではありません。離れるほどにグラデーション的に薄まっていくと考えた方がいいです。オーブは目安です。

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コンジャンクションは見た目的にいちばん分かりやすいです。その他のアスペクトの強弱も、同様にグラデーション的に考えるとよいと思います。 

 

アスペクトの結びつきの強弱とは、何の差なのか

正確なアスペクトと、緩いアスペクトの差を、どう理解したらいいか。僕はよくトランジット(現在の空を動く天体)で説明します。

トランジットは、時間の経過の中で出生図に作用し、出生図に様々な変化を与えます。

トランジットの中で最も動きが速いのは月です。トランジットの月は地上に最も近いところを公転しています。物事を身近で具体的な現象に結びつけたり、感情や体に直接作用する天体です。

例えば、出生図の何かの天体の近くを、トランジットの月が通過する(つまり、出生図の月とトランジットの月のコンジャンクションができあがる)日は、その出生図の天体をピンポイントで、かなり身近で具体的に体験することになります。月を通過する日は、のんびりリラックスデーだし、火星を通過する日は、何かに集中してのめり込みます。

しかし、月は1日で約12〜13度進むので、あっという間に過ぎ去ります。27.3日で出生図を一周します。その間に全ての出生図の天体に、全ての種類のアスペクトを作ります。

「正確なアスペクト」とは

仮に、「出生図の月と天王星が非常に正確なコンジャンクションの人」がいるとします。その人の出生図の月の付近を、トランジットの月が通過することを想定してみます。

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出生図の月にスイッチが入り、間髪入れずに、天王星にスイッチが入ることになります。つまり、月と天王星は、常にほぼタイムラグなしに同時に体験されます。

今はトランジットの月で説明しましたが、太陽や水星、冥王星など、他の全てのトランジットの影響も同様です。コンジャンクションだけでなく、他の全てのトランジットによるアスペクトも、同様に作用することになります。

 

「ゆるいアスペクト」とは

次に、「出生図の月と天王星が誤差8度のコンジャンクションの人」がいるとします。そこを、トランジットの月が通過するとなるとどうでしょうか。

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まず、月にスイッチが入ります。山羊座の月っぽい行動なので、何か意義のあること、成果が後に残る、役に立つことをしたくなります。それが習慣だからです。9ハウスならば資格の勉強などをするかもしれません。

その後、トランジットの月が出生図の月から遠ざかるに従って、徐々に影響がゆるみ、離れます。

月は2時間で1度ちょっと進みます。なので、数時間後に天王星にスイッチが入ります。誰にも邪魔されたくない、単独自由行動です。誰かのルールに従うことに反発します。山羊座の月の時間とはまるで対照的です。

このタイムラグが、ゆるいアスペクトの正体です。

「月」体験と「天王星」体験の間には常にタイムラグが生じるので、出来事としても、感情の動きとしても、両者は連動していない、別々のものと感じられる可能性が高くなります。

最も動きの速いトランジットの月を例に出しましたが、太陽や水星、金星ならばタイムラグは数日間に広がります。最も遅い冥王星ならば、年単位になります。

コンジャンクション以外のアスペクトでも、オポジションでもトラインでも何でも、同様に考えることができます。度数が手前にある天体の方に先にスイッチが入り、誤差のぶんだけ遅れて、後の度数にある天体にスイッチが入ります。

(ただし、ミッドポイントを考えるともう少し複雑になりますが、ここでは省略します。)

 

結論

  • 正確なアスペクト → アスペクトを作る2つの天体がタイムラグなしに作用する → 2つの天体は連動した1つとして認識される。
  • ゆるいアスペクト → アスペクトを作る2つの天体がタイムラグを伴って作用する → 2つの天体の結びつきは緩やかで、別々のものとして認識される可能性がある。

 

アスペクトの誤差の数値を見てみよう

僕はアスペクトの線の「ある・無し」だけでなく、そのアスペクトがどのくらいの誤差なのかを、数値でチェックするようにしています。

その数値は、いろんな占星術ソフトやサイトで、表のように示されていることが多いです。アストロディーンストではホロスコープの下側に出てきます。

 

諫山創さんの出生図

以下は漫画家の諫山創さんの出生図です。『進撃の巨人』の作者です。
アストロディーンストで出しました。

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表の部分の拡大です。

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太陽、水星、冥王星の3つに注目します。

  • 太陽:乙女座の5°29′
  • 水星:獅子座の27°59′
  • 冥王星:蠍座の5°06′

 

太陽と水星のコンジャンクション

乙女座の太陽と獅子座の水星はコンジャンクションです。
しかし、表の数値を見ると「8」となっています。これは約8度の誤差という意味です。(他のソフトKeplerで表示したら「7°30′」でした。「′(ふん)」の10の位を四捨五入しているようです。)

約8度の誤差は弱めです。太陽と水星の結びつきは、全く無関係ではないけど、それほど強くはないという感じです。

基本的には、コンジャンクションはアスペクトの中では最も大事ですが、この場合は結びつきはやや弱めと考えた方がいいです。

太陽とコンジャンクションの水星は、専ら太陽の目的に沿った情報発信や、情報収集をする水星になります。専属秘書、専属広報的な水星です。しかしこの場合は、そこまで太陽の色に染まりきっていない水星です。

そもそもサインが違っています。自分の専門分野を追求したい乙女座の太陽。もしその手先となる水星も同じ乙女座だったら、緻密な作業が可能そうですが、獅子座なのでやや荒っぽい印象です。技術力というよりは、夢中にさせるようなアイデアや、熱意を伝える発信力としての特徴です。

太陽と冥王星のセクスタイル

太陽は複数のメジャーアスペクトを作っています。その中で最もタイトなものは冥王星とのセクスタイルです。

誤差の数値は「0」となっています。(厳密には「0°24′」です。)出生時間が不明なので、多少動く可能性があるにしても、これは非常に正確なアスペクトだと言えます。冥王星は最も動きが遅く、影響力の強い天体で、かつ人生の主軸の太陽へのアスペクトなので、重要度は高いわけですが、個人的にこういう正確なものを見つけると「おぉ!」と思います。

僕は、基本的にはアスペクトは、コンジャンクションの次にはハードアスペクトを重視します。ハードアスペクトは強いインパクトを伴うので、目立った特徴になりやすいからです。太陽には土星のスクエアがあり、こちらがストーリーの中には強く出ていると感じますが、結びつきの強さという意味では冥王星の方が上です。



セクスタイルは間接的な応援です。自分の内部に組み込まれているのではなく、外部にあるものとセットになっており、必要に応じて助けるというアスペクトです。

ハウスは分からないのですが、冥王星は蠍座にあり、これが集団的な組織力だとすると、アニメの制作スタッフのように思えます。諫山さんは、絵のクオリティーについて自身のブログなどで自虐ネタにしています。

あるインタビュー動画では、

「原作で不甲斐なかったところを、アニメで清書してくれる。」
「ライブとCDの違い。ライブ的なほつれが多い。それをプロの手によって完成度の高いものに昇華していただけるという、そういうスタンスと言いますか」 

 などと語っていました。面白すぎる。

『進撃の巨人』はアニメのクオリティーが極めて高く、それが漫画の売上を牽引しているとも言われています。また、諫山さんがアニメから影響を受けて、漫画のキャラ作りやストーリー作りにも反映される部分があるそうです。

自分自身ではないが、強力にバックアップする外部的な応援者。それが冥王星っぽく見えます。

諫山創さんの出生図は、後日YouTubeで解説する予定です。本当は今日やりたかったのですが、文章が長くなりすぎました。

以上です。