ねこちゃんの占星術

ねこちゃんの視点で占星術の面白さを語るブログ

メジャーアスペクトだけだと足りない気がする例(クィンタイル、セプタイル)

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こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
チェックしている人はあまりいないかもしれませんが、マイナーアスペクトについて書きます。

 

前回の記事でアスペクトについて説明をしました。

 

アスペクトとは、天体同士の結びつきのことです。
月や太陽などの個人天体に対して、何らかの天体がアスペクトを作っているならば、その天体は補足説明や引き出しとして個人天体に影響を与えます。個人天体が位置するサインやハウスという情報だけでは拾いきれなかった特徴が、アスペクトによって説明することができます。

つまり、アスペクトを1つづつ拾って、組み合わせて全部読んでいけば、その人の特徴が漏れなく補完できるというわけです。

しかし
ホロスコープに表示されているアスペクトを全部読んでも「何かが足りない気がする……」と思えるケースが時々ありました。

メジャーアスペクトだけだと足りない気がする例

タモリさん(太陽と天王星のクィンタイル)

例えば、こういうホロスコープです。ぱっと見、アスペクトの線が少ない印象。

これはタモリさんの出生図です。
(出生時間は不明のため、仮に12:00で作成しています。ハウスは読めません。)
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人生目的である太陽は獅子座にあります。アスペクトは水星とのコンジャンクションのみです。

獅子座の太陽は注目を集める目立つ存在でありたい。そして不動サインなので、自分流のスタイルを変えずに、長年それを継続します。太陽とコンジャンクションの水星は、太陽の目的を遂行するための専属秘書とか、スポークスマンみたいな水星です。司会者らしい水星にも見えます。

しかし、ホロスコープ上の水星は太陽から28度以上は離れないので、これは全然珍しくないアスペクトです。

また、個人天体とアスペクトする天体の速度が遅い(公転周期が長い)ほど、その個人天体は背後に巨大なエネルギー源を備えていると考えられます。個人的に、個人天体+トランスサタニアンがあると、「おぉ!」と思います。

しかし、「日本のお笑いビッグ3の一角を担う」とか「32年続いてギネス認定される番組の司会者」ほどの人物の太陽にしては、アスペクトが水星のみというのは、軽すぎるように思えます。



ですが、マイナーアスペクトを表示するとどうでしょうか。
以下はマイナーアスペクトの線のみを表示した出生図です。

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太陽には天王星とのアスペクトが現れました。(水色の線)
天王星は世代的に双子座にあるので、知性や言葉の表現における冴えたセンスですが、それが、個人の特徴である太陽に降りてきます。常識的な枠にとらわれない、個性的で独創的で自由な人生を目指す、という解釈ができます。

太陽と天王星はクィンタイルというマイナーアスペクトです。
クィンタイルは、360度÷5=72度です。

クィンタイルは要するにクリエイティブな度数です。遊び、楽しみ、自ら創り出す。どんどん一方通行で押し出し続けることで、入り込まれるスキを与えない。そして自分を防衛するという意味もあります。五芒星は魔除けの印ですが、それもこのアスペクト(「5」という数字)に関係しています。転んでも必ず前向きに、全てネタにして遊び続けることが、魔を払います。

つまり、タモリさんはクィンタイル的な、自発的でクリエイティブな姿勢でいる時に、天王星は太陽と結びついて影響力を発揮するという意味になります。

これなら僕は納得です。

 

アインシュタイン(水星・冥王星のセプタイル)

別の例です。
アルベルト・アインシュタインの出生図です。

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注目していただきたいのは水星です。

「20世紀最高の物理学者」や「現代物理学の父」などと評され、それまでの物理学の認識を根本から変えるという偉業を成し遂げた。
Wikipediaより

そんな、世界的に知られている理論物理学者の頭脳を表す水星にしては、微妙だと思いませんか。

牡羊座の初期、春分点に近い場所にある水星は、前代未聞の、高度な抽象的な理論を表し、コンジャンクションの土星は、それを理路整然とまとめ上げる。要は、水星・土星は学者、研究者の定番的な組み合わせです。10ハウスにあるので、それを職業上の役割として担っています。

そこに天王星がクインカンクスです。生来の資質というよりは、たゆまぬ努力と工夫の末に独自の理論に辿り着く、と解釈できますが、クインカンクスが決め手になる例は、ほとんど見たことがありません。(YODになっていれば別ですが。)



以下はマイナーアスペクトのみのホロスコープです。

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水星(と土星)に対して、冥王星がアスペクトを作っています。(ピンク色の線)
冥王星は最も動きの遅い、太陽系の最外周を公転する天体です。また、太陽系の外から未知のものを持ち込むという作用もあります。

アインシュタインは、複雑な科学のアイデアを現実の場面に置き換えて考えるという、「思考実験」を行ったそうですが、牡牛座は内的に熟考するサインです。冥王星なので徹底的に実験に没入することによって、未知の知恵を獲得し得る水星として解釈できます。

水星と冥王星は、セプタイルというマイナーアスペクトです。
セプタイルは、360÷7=51.428度です。

360÷7は割り切れません。本当は小数点以下はずっと続きます。

セプタイルはマイナーアスペクトの中では、最も影響が強く出ます。松村先生の講座や書籍でそのように紹介されていたので、本当かなと思って個人セッションでも見ていましたが、概ねそのとおりです。どの天体の組み合わせでも、オーブがタイトであるほど強く出ます。

セプタイルは、僕が思うに「私の人生に、この天体のセットが実現できていないなんて、絶対にあり得ない」と感じるもののようです。僕自身はセプタイルがないので、実感としてはわからないのですが、インタビューするとそういう感じです。

セプタイルは、その2つの天体の結びつきを実現させるべく、飽くなき探究を続けます。途中で失敗しても、家族に止められても、「次こそは!」「まだまだ!」と果敢に立ち向かいます。ライバルに先を越されたり、現実との落差にしばしば苛立ちながらも、それは自分を奮起させる動力源です。夢の実現へと駆り立てる力です。

「7」の数字から意味を推理すると、7番目のサインは天秤座です。天秤座は秋分点から始まるサインなので、作物の形が誰の目にも明らかなようにハッキリと定まる、結実や実現という意味は、セプタイルと関連しています。

その発想で行くと、クィンタイルは5番目のサインである獅子座の性質と似ています。

アインシュタインの水星は、未知の理論の解明に向けて、何が何でも諦めず、誰の真似でもないやり方で、飽くなき探究を続けてきたという解釈になります。冥王星なので、エネルギーの底深さとしてはMAXです。

僕はこれなら納得です。


マイナーアスペクトの種類、オーブなど

とりあえず、クィンタイル(72度)とセプタイル(51.428度)の2つだけ説明しましたが、他にもマイナーアスペクトはたくさんあります。

  • 360÷5 → 72度、144度
  • 360÷7 → 51.428度、102.856度、154.284度
  • 360÷8 → 45度、135度
  • 360÷9 → 40度、80度、160度

僕は、今は個人セッションではこれら10個のマイナーアスペクトを読んでいます。(時間や全体のバランスの都合上、読んでないこともあります。)

これらをホロスコープ上に全て表示すると、線だらけになります。お客様側もこんがらかってしまうので、「メジャーのみ」「マイナーのみ」で表示を分けて表示する方法に落ち着きました。

72度は「360÷5」と説明しましたが、その2倍の144度も似たような性質を持つものとして、僕は解釈しています。

同様に、51.428度とその2倍の102.856度、3倍の154.284度の3つも、似たような性質と解釈しています。「360÷8」のグループ、「360÷9」のグループも同様です。


マイナーアスペクトのオーブは、メジャーアスペクトに比べると狭くとる必要があります。なぜなら、広く取るとかぶってしまうからです。例えば、40度と45度は5度しか差がありません。これは『アスペクト解釈大事典』に書いてありました。この本では、マイナーアスペクトのオーブは1度を推奨していました。


マイナーアスペクトとの出会い

僕がマイナーアスペクトを見はじめたのは、2017年の3月頃からです。その記録が残るブログ記事がこちらです。激震が走りました。
アルカノンの松村潔先生の講座がきっかけでした。


当時、僕は占星術ソフト「Stargazer(スターゲイザー)」をメインで使っていたのですが、これだと表示できないマイナーアスペクトがあります。(102.856度、154.284度、40度、80度、160度が表示不可)

それがどうしても気になったことと、スターゲイザーの利用規約が面倒になり、数ヶ月後に今使用している「Kepler(ケプラー)」に移行することを決めたのでした。

ちなみに、最近ユーザーが増えている(気がする)「AstroGold(アストロゴールド)」なら、全てのマイナーアスペクトがばっちり表示できます。

無料サイト「アストロディーンスト」は、一部表示できなかったような気がします。



つづく

概要の説明から入ろうと思ったら、いきなり実例の解説をしてしまいました。ですが、「マイナーアスペクトがあった方が、その人の特徴を的確に説明できる」という例もあることが、わかっていただけたでしょうか。

メジャーアスペクトは、膨大な情報が詰まった出生図の一部です。それが全てではありません。

マイナーアスペクトは、決して弱いわけではありません。オーブがゆるゆる(6度〜8度くらい)のメジャーアスペクトよりも、きっちり正確なオーブで、さらに太陽や月が絡むならば、そのマイナーアスペクトの方が重要度が高くなります。

見慣れたはずの出生図に、新しいアスペクトが見つかると面白いです。

流れとして、次は45度(セミスクエア)40度(ノヴァイル)ですね。

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久しぶりにブログが書けて満足です。
今日はセントレア(中部国際空港)に来ていました。飛行機を見るために。

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お知らせ

グループ講座「ねこでもわかる占星術講座2」

豊富な見やすい資料と、大量の実例で、出生図の読み方を丁寧にお伝えしていきます。

第1回目は8/3(土)・8/7(水)です。(どちらも同じ内容です)
動画視聴による受講も可能です。

2日でねこでもわかる占星術講座in大阪

ご要望にお答えして、2回目の開催です。嬉しいことに、リピーターの方がエントリーされています。前回よりも広めの会場を取りました。

8/14(水):天体、サイン、ハウス編
8/15(木):アスペクト編
動画視聴による受講も可能です。