こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
伝統(古典)占星術を知ってから、あれこれ葛藤して悩んで自信を失いかけたり、復活して気がついてよかったと感じたことなどです。だいぶ長い上に、占星術的なお役立ち情報は特に書いてありません。ご了承ください。
近況
半年ぶりくらいのブログ更新です。
先月、連続のグループ講座「ねこでもわかる占星術講座」が終了しました。約1年をかけて、全部で17回の講座が終了しました。肩の荷が降りたのも束の間、次の計画を立てないといけません。
次のグループ講座のことなどを考えたいので、5月のスケジュールは現在ご予約いただいているもの以外はお休みにさせていただきます。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) April 30, 2020
個人セッション、マンツーマン講座の受付は6月以降になります。ご了承ください。#ねこちゃんピオン pic.twitter.com/0WWfltvT51
ですが、なかなか決められません。
世の中のコロナウィルスとは全然関係ないところで、近況の僕は精神的に停滞した状態が続いています。それを少しでも動かそうと思って、整理するためにブログを書いてみた次第です。
伝統(古典)占星術との遭遇
停滞している理由の1つが、伝統(古典)占星術との遭遇です。それとどう折り合いをつけたらいいか、ということです。
昨年の10月、東京で行われた占星術カンファレンスで、その手法を扱っている先生方のお話を伺ったことが最初のきっかけでした。
先週末の占星術カンファレンスの余韻からまだ抜け切れてないです。迫り来る古典占星術は未知の領域ですが、そのルールを使ったホラリーはかじり始めてて、楽しそうです。しかし、それより来週の大阪、再来週の福岡の出張講座の準備しなくては。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) October 8, 2019
液晶タブレットが便利&楽し過ぎる。#ねこちゃんピオン pic.twitter.com/udKreqF0zA
それからちょくちょく、単発の伝統(古典)占星術の講座に参加してその手法や考え方などを勉強しています。本も何冊か買いました。断片的に読んでいます。(記事の最後に勝った本の一覧を載せました。)
僕が2006年頃に最初に出会った占星術、セッションや講座で扱っている占星術は現代占星術に分類されます。それと伝統(古典)占星術は似ているようでかなり違っています。別の世界に足を踏み入れてしまったわけです。
現代占星術と伝統(古典)占星術の違いについては、そもそも明確な定義や線引きがあるわけではないようなので、ここで詳しく説明することは避けます。説明しやすくするための便宜的な表現であるととらえてください。
抵抗、混乱と葛藤
伝統(古典)占星術の本やサイトを読むと、概ね現代占星術のことが批判的に書かれています。
例えば、最近買った『基礎からわかる伝統的占星術』という本には、以下のように表現してありました。
伝統的占星術は言うなれば、ハンドドリップコーヒーです。
現代占星術は残念ながら、インスタントコーヒーです。
両者の大きな違いは、お手軽かどうかという点です。別の言い方で言えば、本格的かどうかとも言えます。味はどうでもいいから、手軽に楽しみたいという方はそれで結構です。けれども、本格料理を楽しみたいと言うならば、ちょっと手のこんだ事をします。
『基礎からわかる伝統的占星術』P41〜42から引用
こう書かれると僕の心は決して穏やかではなくなります。
自分なりに真面目に積み上げてきたことを「残念ながら」とか、「味はどうでもいいから、お手軽に」などとは言われたくはない。怒りの気持ちです。
しかし同時に、勉強不足で世間知らずな自分を恥じる気持ちも湧き上がってきて、とても複雑です。
伝統(古典)占星術には細かいルールがたくさんあります。
それらを駆使しながら具体的な判断、答えを導き出すところは大きな特徴だと思います。例えば、ホラリー占星術(読み手が具体的な質問を理解した瞬間に立てたホロスコープから、その答えを読み解く手法)には、古典のルールが用いられています。
現代占星術はルールが少ないです。
これにはメリットもデメリットも両方あります。僕がメリットだと感じる点は、解釈の自由度が高いことです。
僕のイメージでは、現代占星術のルールは点在する「点」です。その「点」を上手に拾いながら「線」でつないで文章の骨格を作ります。それだけでは無味乾燥なハリボテなので、装飾的な「面」をつけます。そうして初めて、生きた立体的な解釈が完成します。
この「面」は、現代占星術のルールだけではカバーできません。読み手の経験則や想像力、感性、直観、語彙力などがものを言う領域です。
この「点」と「線」をおさえた上での「面」、創作的な部分には、個性を出す余地が残があります。こそはとても楽しいです。制約の中で発揮される創造性は、俳句や短歌みたいだと感じます。
しかし、現代占星術は自由度が高い反面、何が正しい読み方なのかがわからないという曖昧さがついて回ります。これはデメリットに感じられる点です。しばしば「(現代)占星術を勉強しても、全然読めるようにならない」という話を伺いますが、それは性質上仕方がないのではないかと思います。
ああも言えるし、こうも言える。その中で言葉を絞って話を先に進めるために、僕は対話を通して得た情報を手掛かりにしています。
僕は最初、伝統(古典)占星術のルールを理解して現代占星術に取り入れることができれば、曖昧になりがちな現代占星術のデメリットを補えて、もっと詳細なことが言えると期待していたのですが、違いました。
勉強するほどに、伝統(古典)占星術では「トランスサタニアンは使わない」「ハウスの意味が違う」「推奨されるハウスシステムが違う」「天体やハウスに吉凶がある」などなど、違いがたくさんあるとわかってきます。
最初、僕は1つづつどちらが正しいのかを検証して絞ろうと試みましたが、平行線でした。どちらにも一理あるように思えてしまいます。そうこうしていく内に、今まで10年以上扱ってきた現代占星術のルールすら、怪しく思えて不安が膨らんでいったのでした。
しかし、予定されたグループ講座は開催しなくてはいけない。自信を持って説明しなくてはいけない。セッションもある。その板挟みでした。
ひとまずの平安
偶然、Twitterで見かけた@astrogrammarさんのzoom講座に参加したことで、僕の心はひとまずの平安を取り戻したのでした。
@astrogrammar さんの「大体わかる古典が近代占星術と違うコト」zoom講座に参加しました。悩み続けていた「古典vs近代」問題について、シンプルかつ納得できる考え方を得ることができました。安心と自信が復活してきました。2時間少々でしたが、本当に参加してよかったです。ありがとうございました。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) April 5, 2020
伝統(古典)占星術と現代占星術は歴史的なつながりはあるにしても、前提となる考え方や目的がそもそも違うので、「2つを混ぜてはいけない」ことに気が付きました。両者を単純に優劣や対立関係でとらえる必要はないとわかり、とても安心しました。
占星術の大元である伝統(古典)占星術を全然知らない僕が、大きな顔をして占星術家を名乗ってはいけないのではないか、という考えは少し薄まりました。
また、「不勉強な自分が勝手に独自の考え方などをブログに書き続けたら、現代占星術を勉強する人たちに混乱を招くのではないか」という考え方もただの驕りだと思い直して、それもだんだん薄れてきました。(これはごく最近のことです。)
とは言え、伝統(古典)占星術を学ぶことは意義あることだと感じています。いつの時代の何という占星術師が、どの文献で何を書いたのかなど、歴史や学問としての側面を知ることは、今まですっぽりと抜けていた隙間が埋まっていくような快感があります。そもそも、隙間の存在にすら自覚していなかったわけです。
そもそもの天体やサイン、ハウスの意味は元々はどういう意味や根拠を持ち、どこから来たのかを知ることは、僕の既存の現代占星術の知識を整理したり、深めたりすることに大いに役立っています。
それは例えば、僕が何年も前に自然食のバイキングレストランで勤務していた頃、野菜を仕入れる先の農家の人に会い、畑に行った時に感じたことのようです。
食材は突如として厨房に現れるわけではありません。そこに至る背景を知ると、つながりや全体像が見えてきます。知ってみると、それはぜひとも必要なものに思えてきます。
現代占星術の良いところは何か
話が戻りますが、現代占星術はルールが少ないから「インスタント」で、歴史の浅い、曖昧で取るに足らないものなのかというと、そうは言い切れないと僕は思っています。(現時点での理解においてですが)現代占星術にしかできないと感じるのは、緻密な個性の描写と、可能性の道筋を示すことです。
それは、何でもかんでも楽観的に励ますことではありません。「インスタント」かもしれないルールも、僕にとっては大切なルールです。それなしには解釈を生み出せません。対話を通して伺った情報やホロスコープのいろんな要素をまんべんなく点検していくと、結果的に整合の取れた"自然な" 解釈が浮かび上がってきます。
その過程はパターン化、マニュアル化しにくいです。それも曖昧だと思われる一因だと思いますが、だからと言って使えないものではないと思います。
統計的に証明できるわけではない経験則としての知識は、蓄積してきたその個人にとってのみ、特別な価値を持つのではないかと思います。
占星術に出会った頃はただの記号に過ぎなかったサインや天体などの象徴は、経験を通して成長していくかのようです。象徴から立ち上がるイメージが自然と(あるいは、どう解釈したらいいのだろう……と考え込んで追い詰められた結果)動き出すような瞬間があります。
そのシチュエーションが好きです。それは現代占星術ならではではないかと思っています。僕にとってそれは、星や宇宙のエネルギーというよりは職人技と表現した方がしっくり来ます。
解釈を調整する余白をどう活かすか。そこは現代占星術のルールには書かれていない、書けない部分ですが、そここそ腕(というか言葉)の見せどころだと思っています。
僕は今まで多くの本を読み漁ったわけではないという意味において視野が狭いです。
しかし、独自に積み上げたものを信じて、人と比較しすぎず自分の店の暖簾に誇りを持って、納得するものを提供していこうという気持ちになってきました。
そう感じられたのは、ここまで書いたお陰です。
読んでくださってありがとうございました。
今後の講座などについて
今まで通り、現代占星術をベースにした占星術講座をしていく予定です。何回の回数で開催するのか、具体的な内容や日程などは決まり次第またブログに書きます。今月中には公開します。(ブログの説明文も微妙に修正しました。)
伝統(古典)占星術の勉強は、自分の講座と同時進行で個人的にしていきます。
現在持っている伝統(古典)占星術に関係した本
買った順です。