こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
今回はノーアスペクトについてです。
ノーアスペクト自体の解釈ではなく、あえてノーアスペクトとして解釈しないほうが無難なのではないか、と個人的には思える理由です。
ノーアスペクトの定義、マイナーアスペクトとの兼ね合い
ノーアスペクトとは一般的には「メジャーアスペクトを作らない天体」のことです。
アスペクトとは、天体同士の結びつき、連携パターン、エネルギーの通路などです。その通路がどの天体ともつながっていない、孤立した状態がノーアスペクトです。
解釈としては「他の天体の影響が混じらないので、その天体の作用が純粋なまま保たれる」とか、「引っ込み思案になったり、逆に過剰に主張したりする」などと書かれています。ノエル・ティルという研究家は、ノーアスペクトは「ウサギかカメのどちらか」と説明していたそうです。
しかし、時々このノーアスペクトの解釈が「当てはまらない、ピンと来ない」という話を聞きます。
その理由は、見えていない、拾えていない配置があるからだと思います。
最近、僕はマイナーアスペクトを見ているのですが、マイナーアスペクトを表示すると、ノーアスペクトのように見えた天体に、アスペクトが現れるケースが多々あります。
一般的な定義としては、「メジャーアスペクトがない天体=ノーアスペクト」だったとしても、マイナーでもアスペクトがあるからには、それをそのまま解釈する方が自然なのではないか、というのが僕の考えです。
宮崎駿さんの金星
ノーアスペクトの例として、宮崎駿さんの金星に注目してみます。
出生時間が不明なので、仮に12:00生まれにしてあります。
ハウスは読めません。
メジャーアスペクトのみを表示させた状態だと、この金星はノーアスペクトです。
アニメの映画監督なので、この金星は登場人物の中のヒロインに投影されます。
元気な女の子が主人公であることが多いですが、『風の谷のナウシカ』のナウシカとか、『もののけ姫』のサンみたいな、強くて勇気ある女性、戦う女性、精神的な指導者というイメージも、一応射手座の金星に当てはめることができます。
ですが、マイナーアスペクトを表示した方が、僕はよりしっくりと来ます。
以下はマイナーアスペクトのみを表示したホロスコープです。
金星に対して、天王星と冥王星がマイナーアスペクトを作っていました。
- 金星と天王星がトリセプタイル(154.284度)
- 金星と冥王星がセスキコードレイト(135度)
結びついているのがトランスサタニアンが2つなので、急に金星に「只者じゃない感」が出てきました。個人天体に対してアスペクトを作る天体の速度が遅いほど、そこに供給されるエネルギー量が巨大になり、より特徴的になります。
金星と天王星がトリセプタイル(154.284度)
天王星は独創性や変革、自由。
セプタイルに類似すると考えられるバイセプタイルのアスペクトとして、金星と天王星が結びついています。牡牛座の天王星らしく、自分が見て触れて納得するような、ほかが決して真似できないものを追求するという意味になります。本人にとっては、ここで達成、ゴールという感覚がありません。だからこそ、金星に関する意欲ややる気も決して失われません。
主要な登場人物にアニメ声優を起用しないのも、金星・天王星に関係しているのではないかと思います。天王星がある牡牛座は、下顎や喉にも関係します。
金星と冥王星がセスキコードレイト(135度)
冥王星は徹底的に深入りします。また、死と再生という意味もあります。
セスキコードレイトは、360÷8である45度の倍数なので、今の所は45度と類似するものと僕は考えています。(45度と135度がどう違うのか、正直まだはっきりわからずにいます。)
『アスペクト解釈大事典』では、セミスクエア(45度)は力を溜め込んで蓄積する装置で、そこが充満するほどに生命感覚が高まり、強い説得力や権力に結びつくなどと説明されています。8番目のサインである蠍座とも、8という数字の意味においては似ています。
45度や135度で結びつく天体のセットは、組織内での力になります。その天体のセットを繰り返し活用することが、その人の実力となり、職場内で重宝されるとか、部下を統率する、有無を言わさぬ力になります。
金星と冥王星は、アニメーションという手法にあらわれている気がします。膨大な量の絵を描くことで、そこに生命を凝縮させていくイメージです。冥王星は不動サインの獅子座なので、長期間1つのテーマから目を離さない。また、金星的が表す美術的な、アニメ業界への多大な影響力を持つ、などもこのアスペクトが関連していると思います。
ナウシカの中に描かれている、自然と科学の対立という主題は天王星、滅びた文明とそれを浄化させるべく誕生した腐海は冥王星的です。死や命などの深くて重い題材は冥王星です。しかし金星のアスペクトなので、結局そういうテイストが好き、楽しいということです。
45度と135度の違いについて補足
45度と135度の解釈について、Twitterでよくわからないとつぶやいたら、るしえる(@Ruciel_AIN)さんが教えてくれました。ありがとうございます。参考材料として残しておきます。
ズバリ、トラインもどきのスクエアです。総論賛成、各論反対。世界平和!お前が先に非核化しろよ。みたいな感じです。
— るしえる (@Ruciel_AIN) 2019年5月31日
135度ね。45度はもっとシンプルに感覚の違いからの無理解かな?135度は初めはトライン的に発動するので巻き込まれた感じが強いのです。
— るしえる (@Ruciel_AIN) 2019年5月31日
金星ノーアスペクトの解釈と照らし合わせてみる
以下は『完全マスター西洋占星術Ⅰ』からの引用です。
ノーアスペクトの金星
思春期の感情を、老いても失うことがないという性質です。金星が表す華やいだ気持ち、新鮮な感動を求める気持ち、依存心、若い女性の感性が、まったく風化することなく継続します。遊び精神が強いので、金星に関係したことをどんどん拡張していきます。また生活に貢献しない金星という意味では、その金星の作用だけを取り出した職業、芸能人、水商売、モデルなどの分野では水を得た魚のように活発に活躍できます。
水星と金星に関しては、アスペクトがないのは強みのようで、問題になった人は見たことがありません。ただし、男性のホロスコープでは金星は異性を表すので、ノーアスペクトの金星を持つ男性には、生まれてこのかた異性と接触したことがないという人が数多くいます。これは月がノーアスペクトのケースも同じです。
宮崎駿さんの例では、金星が火のサインであり、冥王星や天王星とアスペクトがあったので、偶然にも記述のような「金星に関係したことをどんどん拡張していく」という部分と一致します。ノエル・ティル式に、ウサギかカメかで言えば、ウサギです。
ですが、例えば土のサインだったり、土星とのマイナーアスペクトがある場合は、堅実で慎重な、かっちりとした金星になるはずです。そうなると、この記述と噛み合わなくなります。
違う話ですが、以前、髪の毛を切ってくれていた美容師さんが、マイナーも含めて完全なるノーアスペクトの金星でした。サインは双子座でした。毎日「美」に触れ、感性を活かして仕事しているわけです。毎日、毎回違うお客さんに対応するというシチュエーションは双子座的です。これは僕にとって、貴重で珍しい例です。
他にも出したい例がありますが、解説は書くと大変なので、別の時に書きます。
その他の理由
マイナーアスペクトを含めて完全にノーアスペクトだった場合でも、他にも「見えていない配置」はあります。
例えば、ハーモニクスとかミッドポイントです。
詳しい説明は今回は省きますが、それらを表示してみた時、ノーアスペクトの天体とアスペクトができる可能性があります。
他には、小惑星があります。
キロンと、四大小惑星と呼ばれる天体(セレス、パラス、ジュノー、ベスタ)を表示したら、ノーアスペクトの天体とアスペクトができる可能性もあります。もちろん、これらは他の惑星の影響を越えることはできませんが、個人天体とタイトな合やハードアスペクトを作るキロンは無視できません。キロンの有無によっては、だいぶ読み方が変わる例があります。これもまた今度説明します。
時期的な配置とのアスペクトも考えられます。
プログレスや、動きの遅いトランジットは、数年間継続してアスペクトができることがあります。その期間は、実質的にノーアスペクトではなくなります。
さらに、相性も考えられます。いつも身近にいる家族や職場の上司や同僚の影響は、とても大きいです。お子様や、飼っている猫との相性が、埋もれていた天体の作用を引き出すというケースもあります。
これら全てを考慮しても完全にノーアスペクトという状態は、ほぼないように思えてきます。それならば、「ノーアスペクト」として解釈すること自体、しないほうがいいように思えてきます。個人的に。
普通に、その天体は「どこかのサイン、ハウスにあります」くらいに留めて置くほうが、無難なのではないでしょうか。
次はマイナーアスペクトの続きを説明します。
40度、ノヴァイルです。
おまけ
昨日、書いた記事の反響が大きいです。
マイナーアスペクトのことを書きたいために、前置きとして基本的なアスペクトのことをさらっと書いたつもりだったのですが、とても役に立てているようで嬉しいです。
ブログを更新しました。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) 2019年6月25日
「月星座、太陽星座などが当たらないと感じる理由はアスペクトを見落としているから」
マイナーアスペクトのことを書こうと思って、前置きのアスペクトの説明をし始めたら、かなり詳しくなりました。https://t.co/romcMjI85F
LINEグループで
「竹内さんの今日のブログ 永久保存版で何度もよみかえします。今日も3回は読んでますね👆どうもありがとうございます!」
というメッセージもいただきました。ありがとうございます。とても励みになります。マイナーよりも、メジャーアスペクトについて詳しく書いた方が、ニーズには合っているのかもしれない。