※ この記事は「ライオンズゲート」のスピリチュアル的な意味を解説したものではなく、天文的な意味においてどのような位置関係になる時なのかを、解説したものです。
こんにちは。
占星術家の竹内俊二です。
ここ数年、ずっと気になっていることがありました。8月8日の近辺になると、ブログやFacebookなどで見かける言葉「ライオンズゲート」についてです。
保存版の情報満載のFacebook投稿へのリンクと、やり取りから僕が個人的に理解した内容を備忘録としてまとめたものです。
その疑問を書いたら、心優しく、真摯で、研究熱心な占星術つながりの方々がFacebookのコメント欄にものすごい勢いで書き込んでくださいました。
分からないことを分かろうとする皆様の熱意と好奇心。感情論や決めつけではなく、理論的に真相を解き明かしてゆく姿勢が、本当に素晴らしくて僕もその中に混じれていることが幸せでした。
きっかけのコメントは芳垣宗久先生です。
貴重なお時間と知識を本当にありがとうございました。
ライオンズゲートについての投稿と、保存版のコメント欄
以下はそのFacebookの投稿です。
リンク先のコメント欄をご覧ください。
Facebookアカウントが無い方は見られないかもしれませんがご了承ください。
僕が勝手に編集してしまうと、誰が何を言ったのかが分からなくなってしまうので、そのまま残すのがよいと思ったからです。
竹内の備忘録「ライオンズゲート」とは
以下は上記のFacebookのコメント欄のやり取りから僕が理解したことを備忘録としてまとめたものです。
僕が知りたかったのは、ライオンズゲートのスピリチュアル的な意味ではなく、「天文的にどういう位置関係になる時なのか」です。
ライオンズゲートを説明する記事の中では「地球が銀河の中心となる」など、完全に意味不明な表現(結局これは誤訳らしいです)が使われていたので、ライオンズゲート自体が怪しく思えていたのです。
上記のFacebookのコメント欄のやり取りから導き出された結論を先に言うと、
- ライオンズゲートとはシリウスのヒライアカルライジングの日(あるいはその前後の期間)です。
- その現象が確認できる日付は「8月8日」に限定されません。都市の緯度毎に異なります。
シリウスのヒライアカルライジングとは
ヒライアカルライジングとは「ある天体が太陽を伴って東の地平線から昇る時のこと」です。
シリウスのヒライアカルライジングとは、「シリウスが太陽を伴って東の地平線から昇る時のこと」です。
以下の図は、日本から見た東の地平線です。
日時は「2018年8月10日の午前4時頃」。夜明けの直前です。
東の地平線すれすれの所にシリウスがあります。時間を進めるとすぐに太陽が地平線の下から現れます。これが日本から見たシリウスのヒライアカルライジング近辺の様子です。
動画で表したものがこちらです。
シリウスのヒライアカルライジング近辺の様子です。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) 2018年8月9日
(日本、2018年8月10日、午前4時頃)
ヒライアカルライジングとは、「ある天体が太陽を伴って東の地平線から昇る現象」です。例えば、東京などの北緯35度近辺の都市では、8/6にシリウスがヒライアカルライジングになります。 pic.twitter.com/xTwfcZ9DLO
※上記の枠内の「21:30 - 2018年8月9日」をクリックするとTwitterの元の投稿が開き、鮮明な動画が見られます。
8月8日という日付について
Facebookのコメント欄で紹介されていた以下のサイトによると、シリウスのヒライアカルライジングとなる日付は、都市の緯度によって異なるようです。
幾つかのブログやサイトなどでは、「ライオンズゲート(=シリウスのヒライアカルライジング)=8月8日」と書かれていますが、それは北緯37度の都市だけの話です。
東京などの北緯35度近辺の都市においては、8月8日ではなく、8月6日に毎年シリウスがヒライアカルライジングとなります。
都市によってシリウスのヒライアカルライジングとなる日付は異なるのに、なぜ「8月8日」と書いているサイトが多めなのか。それは、都市の緯度毎に日にちのリストを載せるのが面倒だからではないでしょうか。あるいは単純に、8月8日がゾロ目で見た目にキリいいからではないでしょうか。
8月8日の「8」に数秘的な意味を絡めて説明しているサイトもありましたが、それとシリウスのヒライアカルライジングとは直接関係がありません。
「地球が銀河の中心となる」とは
それでは「地球が銀河の中心となる」とは一体どういう意味なのか。
ライオンズゲートを説明した原文では、
- オリオンベルト
- 銀河の中心
- シリウス
これら3つと地球や太陽がどのような位置関係になると言いたかったのか。
黄道上の座標でその4点を示すと以下のようになります。
- オリオンベルト(真ん中のアルニラム):双子座23度28分
- 天の川銀河の中心の反対側:双子座26度
- シリウス:蟹座14度5分
- 地球から見た太陽の位置:獅子座15度付近
「オリオンベルト、銀河の中心、シリウス」これら3つは恒星なので、相対的な位置関係は太古の昔からほぼ変わりません。
変わるのは太陽の周りを公転している地球の位置です。地球から見た太陽の位置は、1年サイクルで黄道上を一周しており、毎年8月8日には獅子座の15度付近を通過します。
すると、ライオンズゲートとされる時期には、東の地平線からシリウス昇る時に、一緒に太陽も昇ってくる(=シリウスのヒライアカルライジング)という位置関係になります。
ただし、これは地球上のどこかの地点から観測した時の見え方の話なので、前述したように、都市の緯度によってシリウスのヒライアカルライジングが観測できる日にちは異なります。
例えば、東京などの北緯35度近辺の都市では、毎年8月6日の早朝に東の地平線には以下のような光景が観測できます。
- 最初にオリオンが昇る
- 次に天の川銀河の中心の反対側のポイントが昇る
- 次にシリウスと太陽が昇る(=シリウスのヒライアカルライジング)
繰り返しになりますが、その近辺の様子を図で示すと以下のようになります。
動画で表したものがこちらです。
シリウスのヒライアカルライジング近辺の様子です。
— 竹内俊二@ねこちゃんと占星術 (@soranoiro333) 2018年8月9日
(日本、2018年8月10日、午前4時頃)
ヒライアカルライジングとは、「ある天体が太陽を伴って東の地平線から昇る現象」です。例えば、東京などの北緯35度近辺の都市では、8/6にシリウスがヒライアカルライジングになります。 pic.twitter.com/xTwfcZ9DLO
要するに、「地球が銀河の中心となる」と誤訳された原文は、上記の「1〜3」が順番に縦一直線に並んだ状態で東の地平線から昇ってくる様子を示しているのだと思います。
以上です。
補足
補足すると、シリウスの朝出を新年とする古代エジプトの習慣がスピ界隈でネタ化されたわけですが、その時代のシリウスの朝出は夏至(太陽の蟹座入り)の頃で、そこでナイル川が氾濫するから神聖視されたわけで、獅子座とは何も関係ないです。古代エジプト人「ライオンズゲート? 何すかそれ、ププッ!」 https://t.co/KzLq7Ir6TZ
— 芳垣宗久 (M.Yoshigaki) (@astrohund) 2019年8月1日
紀元前3000年頃の古代エジプトでは、シリウスのヒライアカルライジングの時期は夏至(=太陽が蟹座の0度を通過する時)だったのですね。
現代では、エジプトのカイロ(北緯30度)でヒライアカルライジングになる時期は8月3日です。その時の太陽は獅子座の9度付近を通過します。
歳差運動によって、春分点やサインは少しづつ動いています。そのため、シリウスがヒライアカルライジングになる時期の黄道上の太陽の位置も、長い時間の間に1サインぶん以上ズレた。つまり、古代エジプト人にとっては、シリウスのヒライアカルライジングと獅子座のサインは無関係だったということが言えます。